長崎 その2 長崎恐竜博物館

おでかけ

長崎恐竜博物館は、長崎の南の方、野母崎にある。2021年に開館した新しい博物館で、小規模ながら展示は最新研究のポイントを押さえたオモシロイものだった。(長崎恐竜博物館
訪問日:2023/5/19

道中

問題は、長崎市内から遠くてバスの本数が少ないこと。事前にガッツリ調べた。空港から直行で行く手段はない。まず、バスで空港から長崎市内へ行き、長崎駅に着く前の途中のバス停で乗り換えるのだ。ありがたいことに今はスマホの乗換案内などで地方のバス路線も検索できる。これがないと旅程が立たない。
乗り換え地点のバス停は、いろいろな方面行きががんがん来て、結構不安。どこどこ方面行きというのをちゃんと把握して、やってくるバスの表示を見ていないといけない。しかも、バス停エリアが横に長い。いっぺんに3台くらい停まれるようになっている。

長崎の大地

博物館に入ると、最初の「長崎の大地」というコーナーでびっくり

5億9千万年前の変成岩ですと!?

行きにちらっと見えた夫婦岩は、5億9千万年から4億6千万年前の”野母変はんれい岩”だそうだ。古生代、もしかしたらカンブリア紀の地層じゃないかー、そんな古いのが露出してるんだ、すげぇ。
古生代なんて、日本はまだ影も形も無いはずだ。その時期にどこかでできた地層がプレートに押されてもり上がってきたところが長崎らへん、ってことなんだろう。

…夫婦岩は帰りに頑張って撮った。

もうひとつびっくりしたこと。

日本の石炭は石炭紀の石炭じゃないんだ

ただの無知だったわけだが、日本の石炭は新生代の石炭なんだそうだ。ちょ! 新しすぎる!! 
石炭紀の石炭はシダだそうだが、新生代の石炭はなにからできてるのか? 石炭紀のに比べて質は大丈夫なの? 

で、帰宅してから調べた。

  • 日本の石炭は針葉樹からできているらしい
  • 日本は地殻変動の影響で圧縮されているので、他の地域より石炭化が進みやすいらしい
  • 石炭紀の石炭は無煙炭で、日本のはその一歩前の瀝青炭で、製鉄には瀝青炭のがよく燃えていいらしい

ちなみに、長崎らへんはかつて炭鉱がたくさんあって、島の地下から石炭が出ている。先の古い変成岩は島々に面した西側の海岸線なので、このあたりは地層の年代がぐちゃぐちゃになっているってことなんだろうな。

世界各地の石炭のでる年代
炭鉱のあった場所

ちなみに、野母崎あたりはこう↓なっているらしい。古生代と新生代がほとんどで、中生代がちょっとしかない(^^;

国交省の地質図(長崎県:野母崎)
https://nlftp.mlit.go.jp/kokjo/tochimizu/F3/data/G/4208G.jpg

恐竜フロア

いろいろびっくりしたところで、メインの恐竜。
壁面にどーんと生態系の絵があって、広い窓から海が見える。明るい。雰囲気いい!
ボーッと眺めていたいところだが、ぼーっと眺めるためのベンチなどはない。

ちなみに、壁画は月本佳代美という方の筆だそうだ。

長崎の恐竜

結構な数の長崎の化石が置いてある。化石が出るから博物館作ったとは知っていたが、こんなに出ているとは。
…あれ? 地質図では中生代の地層少なかったよね?
化石は野母崎の三ツ瀬層、すなわち恐竜博物館がある場所あたりから見つかっているらしい。もう一度地質図を見みる。…けどわからない。三ツ瀬層は、野母崎の西海岸に広く分布しているらしい。もっといえば、新生代の石炭の出る層の下に、8100万年前の地層があることがわかって、それと同じ地層が海岸に露出しているとのこと。白亜紀後期だけど、カムイサウルスよりはちょっと古い時代かな。

鳥脚類は草食恐竜である。イグアノドンとかエドモントサウルスとか、日本で言えばカムイサウルスとかフクイサウルスとか。
で、このハドロサウルスは野母崎の海岸だけでなく、東側の茂木というところでも出たらしい。

鎧竜も草食恐竜である。2023年に上野の科学博物館でやっているトゲトゲ恐竜展のズールは鎧竜である。
長崎では歯がでているらしい。小さい!

翼竜も出ている。アズダルコ科と書いてあった。後ろにある頭の骨は同じ科のケツァルコアトルスのもの。

そして大ニュースのティラノサウルス科の歯と、いまいち種類の判然としない獣脚類の歯や骨の欠片。ティラノの歯は随分とりっぱなものが出ている。

獣脚類

獣脚類から鳥につながるあたりの展示が充実している。最近出た本『ティラノサウルス解体新書』や『羽毛恐竜完全ガイド』に記載があって、標本を見たことなかったり大きさの実感が持てていなかったやつがたくさんいる!
博物館の展示ガイドの冊子は観光ガイド的で詳細な記述がなくて、もっとキャプションを撮影しておけばよかったと…。

ちなみに、ここのティラノサウルスはオランダからやってきた愛称「トリックス」のレプリカだそうだ。

鳥の部。
ドードーは2階にあり、1階に降りようとするとこっちを見ている(^^;

その他、定番

恐竜以外の展示。貝のホロタイプとか、一部で話題になっていたタリーモンスター(ゆるふわ生物学:YouTube)とか。タリーモンスター、こんな小さかったんだ。

いろいろな人が楽しむ展示もあった。ラボを外から覗けるようになっていた。
お土産に、佐藤たまき先生がタグの解説の監修をしている首長竜のマスコットと、恐竜Tシャツを買った。
行くの大変だけど、また行きたくなるところだ。

恐竜パーク

恐竜博物館の外は公園になっていた。なんと、軍艦島も見える。
平日の雨上がりの夕方だったので人気がなかった。帰りのバスまで時間があったので高いところに登ってみた。

同じ敷地に軍艦島資料館もあったので、ちょっと覗いてみた。それについては軍艦島のところで。